2019.12.14
# 鉄道 # マナー

「駅弁、食べたらダメ?」新幹線の車内飲食がいまだに賛否両論のワケ

「ご遠慮」という言葉の難しさ
野田 隆 プロフィール

的外れな「海外は飲食禁止」論

それにしても、鉄道会社が禁止の通達を出したという事実はない。あくまで「ご遠慮」であって、食べたからといって罪になるわけではなかろう。

ただ、この注意書きが拡大解釈されて、いずれ豚まんを車内で食べるのも禁止になるとか、様々な憶測がネット上を賑わしている。「食テロ」などという穏やかではない表記も見られ、他人の食材の匂いを不快に感じている人が少なくないことを物語っている。

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とはいえ、駅構内で多数の駅弁や酒類を含めた飲料を大々的に販売している以上、列車内での飲食を禁止することには無理がある。

JR東日本などの新幹線に連結されている最上位の車両グランクラスでは軽食はサービスの一環であるし、酒類を含めたドリンクは飲み放題である。また、近鉄の観光特急「しまかぜ」では食堂車(名称は「カフェカー」)を連結しているし、数は減ったとはいえ車内販売では飲食物を売っている。

 

識者の中には、「電車内での飲食を禁止している国がある」と我が国の対応が甘いかのように説く人までいる。しかし、調べてみると、韓国やシンガポールの鉄道車両内での飲食禁止は「通勤電車内」でのことだ。韓国の高速列車KTXでは車内販売があるし、シンガポールでは列車内での飲食全面禁止といっても、小さな国で長距離列車は存在しないので、JRの新幹線や特急列車とはわけが違うのである。

もっとも、長距離列車内での飲食は法に触れるわけではないといっても、ある程度のマナーは必要であろう。少なくとも、前述のたこ焼きのパッケージに書かれた「ご遠慮」という文言が書かれている背景を無視するわけにはいかない。

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