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中国の最先端医療を目の当たりにした、日本人トップドクターの危機感

10年前とは状況が違う

SF映画のような手術

その、SF映画のような手術風景を目の当たりにしたのは2年前だった。執刀する石井賢医師と助手を務める2名の医師は、VR(ヴァーチャル・リアリティ)で目にすることの多いゴーグルを装着し、時折、空中で指を動かしながら言葉を交わす。彼らの目には、手術を受ける患者の体内の骨格や血管、神経などが3DCGで見えている。

この技術の名前は「ホロアイズ(HoloEyes)」。国際医療福祉大学大学院准教授(当時)の杉本真樹氏がパイオニアとなり、医療現場に導入した技術だ。

ホロアイズを利用した手術の様子(HoloEyes株式会社HPより)
 

患者は重症の側弯症に苦しむ70代女性。脊椎(背骨)が激しく弯曲して神経を圧迫し、腰痛や脚のしびれがひどく、まともに歩けない。治療するにしても、高齢の上に狭心症があるため、背中を大きく切り開く一般的な従来手術では大量の出血に伴う危険性がある。

「手術で2000~3000ccほどの出血があれば、この患者さんにとっては全身の血液がほぼ入れ替わるほどの量になります。合併症などのリスクも高まり、非常に危険です」(石井医師)