コクヨvsプラス、筆記具業界揺るがす「ぺんてる」買収戦争のウラ側

株主はどんな判断を下すのか
加谷 珪一 プロフィール

日本は今後、人口減少が急激に進むことから、文具の市場も縮小が予想されている。こうした市場環境において今後も成長を維持するためには、国内市場でさらにシェアを拡大するか、海外市場に活路を見いだすのかのどちらかということになる。

コクヨは、中国市場とインド市場を強化したい方針だが、現状は国内中心の体制であり、海外市場の開拓が十分に出来ているわけではない。一方、ぺんてるは売上の6割が海外となっており、販売数量は少ないながらも海外に豊富な販売チャネルを持っている。コクヨとしては、ぺんてるが持つ販売チャネルを利用して、業容を拡大したいと考えており、コクヨと提携することは、弱小企業であるぺんてるにとってもメリットが大きいとの認識だ。

一方、プラスは、ぺんてると国内販売を強化する新しい流通網の構築を検討しているとされる。文具の業界には、コクヨとプラスのほかに、キングジム、ニチバンといった企業があるが、いずれも売上高が小さく、コクヨとは圧倒的な差がある。

 

株主はどちらに付くのか?

プラスはぺんてるとの提携をきっかけに、他社も巻き込んだ上で、コクヨに対抗できる国内流通網を構築したいと考えている。プラスは対外的にはこの件について明確な方針を示していないが、もし国内流通網の拡充を検討しているのであれば、コクヨとは正反対に国内でのシェア拡大という戦略(つまりコクヨから顧客を奪う戦略)になるだろう。

だが、先にも述べたように、コクヨは国内文具市場では圧倒的なガリバーであり、シェアが小さい企業がまとまったとしても、コクヨからシェアを奪って成長するというシナリオを描くのはたやすいことではない。プラスとぺんてるの間で行われているとされる提携協議の内容にもよるが、現実には紆余曲折があるだろう。