コクヨvsプラス、筆記具業界揺るがす「ぺんてる」買収戦争のウラ側

株主はどんな判断を下すのか
加谷 珪一 プロフィール

ぺんてる経営陣によるプラスとの協議については、ぺんてる側とコクヨ側で言い分が食い違っている。

コクヨはぺんてるに対し、今後の提携協議をスムーズに進められるよう株主名簿の提示を求めたところ、ぺんてる側がこれを拒否。さらにコクヨ宛に、ぺんてる社内と思われる人物から、経営陣がプラスとの資本提携を画策しており、コクヨとの資本提携を有名無実化しようとしているとの文書が届き、これをぺんてる側に確認したところ、ぺんてる側は否定しなかったと主張している。こうした状況から、ぺんてる経営陣がコクヨとの提携に前向きではないと判断し、子会社化を進めたとしている。

一方、ぺんてる側は、そもそもコクヨとの提携に、コクヨ以外の会社との協業を制限する契約はないとして、合意を翻したわけではないと主張している。

ただ、一般的なビジネス感覚からすると、関連会社であることを受け入れ、業務提携について協議している最中に、他社との資本関係構築について協議するというのは、提携の破棄を望んでいるというサインになる。実際、ぺんてる経営陣はコクヨ側に対してプラスとの協議について知らせていないので、ぺんてる経営陣がコクヨを嫌っているのはほぼ間違いないだろう。

 

背景にあるのは人口減少による市場縮小

ぺんてるはサインペンなどの分野では知名度のある企業だが、売上高はわずか400億円と規模の小さい会社である。3000億円以上の売上高を持ち、文具業界のガリバーとして君臨しているコクヨがなぜ、このような企業の買収にこだわるのだろうか。

圧倒的な業界トップであり、2位のプラスを大きく引き離しているコクヨとしては、たとえ小さな会社であっても、プラスとの争いには負けられないというプライドがあるだろう。だが、もう少し大きな視点で一連の買収劇を眺めた場合、国内市場の縮小という時代の流れが関係している。