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医学を諦めていた・・・重い肩こりに悩む男性の症状が改善した理由

谷川浩隆の「歩いて治す」診療室
 

40代の働き盛り、IT企業でプログラミングの仕事をしている男性の患者さん、Cさんは数年前から重い肩こりに悩まされてきました。
端末を見ながらキーボードを操作する業務がほとんどですが、仕事を始めて1時間もすると肩が張ってきます。さらに続けていると背中全体が板のようにパンパンになり、仕事を終えるころには頭痛や手のシビレ、目の奥の痛みが出てくることもあります。

 

(photo by iStock)


いろいろな医療機関を受診して、お薬や注射、ペインクリニックでのブロック療法、はては筋膜リリースまで受けに遠方の医院にも通ったのですが、治療を受けてしばらくすると、すぐにもとどおりの症状が出てしまうということで私のクリニックを訪れました。

いろいろな医療機関を受診して、お薬や注射、ペインクリニックでのブロック療法、はては筋膜リリースまで受けに遠方の医院にも通ったのですが、治療を受けてしばらくすると、すぐにもとどおりの症状が出てしまうということで私のクリニックを訪れました。

機械の検査は医者の手より劣ることもある

診察すると、僧帽筋の中に、コリコリしたかたまりがありました。これは「こりの核」といわれるもので、トリガーポイントともいいます。コリコリがあるからといって、MRIで調べても何も見えません。現代医学の画像検査をもってしても、このコリコリはけっして描出できないのです。

これだけしっかりコリコリがあるのだから検査でわからないわけはないだろうと思ってエコーで調べてみたことがあるのですが、やはり何も見えません。つまり診察する医者の手でしかわからないのです。機械による検査は決して万能でなく、医者の手による診察に劣ることもあるのです

僧帽筋(photo by iStock)

「Cさん、あなたの長年の肩こりが明日治るような特効薬や治療法は残念ながら世の中に存在しません。ただ、自分で治していくことは可能です

まず、こう説明したうえで私は続けました。

近所の公園を散歩してください。少し早歩きでウォーキングをして、20分歩き終わったら汗ばんでいるくらいがちょうどいいです。ウォーキングの時は周囲の風景や音を、見えるがまま、聞こえるがままに感じて歩いてください。会社でのいやなこと、仕事でやらなければいけないことを忘れて、ウォーキングをしている自分の今だけを見つめてみてください

一見、医学的ではない生活指導です。

最初は私の話に拍子抜けしていたCさんでしたが、仕事の合間を縫って週2~3回、ウォーキングを始めてくれました。

ウォーキングを始めて数週間後、「以前に比べて背中の張り感がとれてきて、少し運動しようという気になってきた」ということで、昔やっていたテニスを奥さんと始めたそうです。

「今でも仕事が立て込むとどうしようもない肩こりに悩まされる時もあります。でも、今の医学ではダメだとあきらめていた肩こりが、運動で少しでもなんとかなると考えられるようになりました。これが最大の変化です。すぐに肩こりを治す手段がないのがわかった。肩こりについて冷静に考えられるようになったら、だいぶ楽になりました」

Cさんの気持ちが切り替わった、と私が感じた言葉です。