吉野彰さんノーベル賞受賞!「リチウムイオン電池」はどこがすごい?

急速に普及したその実力となお残る課題
西田 宗千佳 プロフィール

第一の安全策は、「異常発熱につながる充電・放電を止める」ことだ。

 

リチウムイオン二次電池の中には通常、充電・放電の状況をチェックするコントローラーが内蔵されていて、事故につながりそうな状況にいたることを防止している。

傷んで切れかかったケーブルや品質の悪いケーブル、品質の悪い充電器などが原因になって事故にいたることがあるので、機器の側だけでなく、むしろケーブルや充電器にも気をつけたい。

第二の安全策として、内部の素材にも工夫が施されている。

プラス極とマイナス極とを隔てて、必要な分子だけを通す「セパレータ」とよばれる素材があるが、これについても、分子を通すための「穴」が発熱による収縮で閉じる素材を使うことで、発熱が生じた際に充電・放電を止めるしくみになっている。

電池が変形したら使用中止を

さらに、電池の封口自体には、「PTC素子」というプラスチックの一種が使われている。

PTC素子の中には炭素が入っており、通常時は電子伝導体の役割をはたしているが、異常発熱が起きると、プラスチックが伸びて広がることで、つながっていた炭素どうしが離れる仕掛けになっている。その結果、電子伝導体としての役割をはたさなくなって電流が止まり、異常発熱も抑えられるというわけだ。

過充電だけでなく、「異常な圧力」によっても事故が生じる可能性がある。

たとえば、高所からの落下や、外部から大きな圧力がかかるなどして電池が異常に変形したときに、内部でショートが起き、異常発熱にいたる場合が起こりうるのだ。

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こうした際にも、前記のような「過熱が見られたら電流を止める」対策により、事故の拡大を防ぐ工夫がなされている。

リチウムイオン電池の、そのような特徴を理解したうえで、万が一、電池を壊したり変形させたりしてしまった場合には、すみやかに使用を中止して、事故が起きないよう対処することが重要だ。

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