吉野彰さんノーベル賞受賞!「リチウムイオン電池」はどこがすごい?

急速に普及したその実力となお残る課題
西田 宗千佳 プロフィール

まず、前者は完全な誤りだ。リチウムイオン二次電池には、メモリー効果が存在しないため、継ぎ足し充電をしても容量が減ることはない。

 

後者については補足が必要だ。100%の充電状態で電源をつないだまま使いつづけるのは、確かに電池にとって好ましい状態ではない。ただしそれは、100%充電状態を維持するのが問題なだけでなく、同時に発熱することの悪影響も大きいのだ。

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パソコンの機種によっては、電源を接続したまま使用する際に、バッテリーの充電をあえて80%から90%程度までで止めて、バッテリーそのものの消耗を抑える機能を備えたものがある。「いたわり充電」「ECOモード」などの名称でよばれるこの機能は、ムダな電力消費を抑え、機器のバッテリーをより長く使いつづけるための工夫だ。

現在のバッテリーの動作時間は十分に長くなっているため、8割ほどの充電でも実用的な問題が生じないことから、こうした機能が普及した経緯がある。たとえば、「ECOモード」を備えたノートパソコンのバッテリー耐用年数は、この機能を使わない場合と比較して、最大で1.5倍まで延びるとされている。

リチウムイオン電池の欠点

現代社会に欠かせない存在となったリチウムイオン二次電池にも、課題は残っている。

内部の電解質に、燃焼しやすい性質があることだ。まれに、携帯電話やパソコンのバッテリーから発熱・発火したという事故が報道されるが、これらは、リチウムイオン二次電池を利用した製品で発生している。

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リチウムイオン二次電池は、予期せぬ事象により、過充電などによって異常な発熱が起きた場合や、製造不良や事故による内部短絡が生じた場合などに、異常発熱する可能性がある。

とはいえ、過度に心配する必要はない。リチウムイオン二次電池にはさまざまな安全策が組み込まれており、一般的な使用の範囲では、深刻な事故につながる可能性はほとんどないからだ。

どんな安全策が講じられているのか?