吉野彰さんノーベル賞受賞!「リチウムイオン電池」はどこがすごい?

急速に普及したその実力となお残る課題
西田 宗千佳 プロフィール

現在、数多くの電子機器で使われているのは、素材にリチウム化合物を使った「リチウムイオン二次電池(リチウムイオン電池)」だ。リチウムイオン二次電池は非常に軽く、重量あたりのエネルギー量がきわめて大きいという特徴をもっている。

 

「小型・大容量・軽量」という条件が求められる現在、最も理にかなった二次電池といえる。

スマートフォンやデジタルカメラに代表されるIT機器では、処理するデータ量が増えるにつれて、消費電力も増加していく。便利な機器ゆえに、日々の生活における依存度も高まっていて、「どれだけ長い時間使えるか」が最重要視されている。

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「高い消費電力でありながら、長時間保つ」──この相反する条件を満たすには、つねに一定の電力を維持できて、しかも同じ質量・体積でより多くの電力が発生する素材が求められる。現在の技術では、このニーズを満たす最適の存在が、リチウムイオンを使った二次電池なのだ。

電池界の“新参者”

リチウムイオン二次電池の“原理”が生まれたのは1980年のこと。今回、吉野さんと一緒に化学賞を受賞した米テキサス大学オースティン校のジョン・グッドイナフ教授による成果だ。グッドイナフ教授は97歳で、史上最高齢のノーベル賞受賞者としても話題になった。

ジョン・グッドイナフ教授 Photo by Getty Images
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その後、1985年になって、吉野さんらが炭素材料をマイナス極に、コバルト酸リチウムをプラス極に用いるリチウムイオン二次電池の基本的な考え方を確立した。共同受賞となったゆえんである。

つまり、現在広く使われている、プラス極にコバルト酸リチウムを使ったリチウムイオン二次電池が誕生してから、まだ30年強しか経っておらず、電池としては“新参者”だ。急速に普及が進んだのは、電力に対するニーズが劇的に拡大したためである。

リチウムイオン二次電池は、「セル」という電池単品で生産される。実際に使うときには、1セルで使う場合と、複数のセルを組み合わせて使う場合とがあり、そこから得られる電圧は、各機器によって異なる。

生産数としてはデジタル機器向けが多いが、電圧が高く、容量が大きいのは、電気自動車/ハイブリッド電気自動車向けの電池システムだ。電気自動車向け電池システムの場合、一般的なスマートフォン用の充電池に換算して、3000~6000個分の電気を蓄えられるため、家庭用の電源として流用されるケースも出てきている。

電気自動車「NISSAN LEAF」の充電シーン Photo by Getty Images
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極度に酷使されるスマホの電池

ところで、充電可能な二次電池を使っていると、だんだん電池の保ちが悪くなる……という現象に遭遇したことはないだろうか?