吉野彰さんノーベル賞受賞!「リチウムイオン電池」はどこがすごい?

急速に普及したその実力となお残る課題
西田 宗千佳 プロフィール

そのしくみは、こうだ。

電解液に溶けやすい金属をマイナス極とし、それを電解液に浸けると、金属が液体に溶け出す。同時に、電子が導線を伝わって、マイナス極からプラス極へと流れる。

 

プラス極では、移動してきた電子が電解液中のイオンと結びつく結果、プラス極とマイナス極のあいだに電流が生まれる(=放電する)のである(図2)。

図2/電極間で電流が生まれるしくみ シンプルな「ボルタ電池」の例
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「電圧」はどう決まるのか

電流を流す駆動力である「電圧」は一般に、プラス極とマイナス極にどんな材質を使うかで決まる。電解液は、この反応を促進するための役割をはたす。

図2からわかるとおり、電池のしくみそのものはきわめてシンプルで、食塩水を電解液にして、十円玉をプラス極に、一円玉をマイナス極にするだけで電池ができてしまうほどだ。このように、液体を使うものは通称「ボルタ電池」とよばれ、最もシンプルな電池とされている。

じつは、原始的な電池は2000年以上前から存在した、といわれている。近代的な電池は、1800年にボルタによって発明された。

ボルタ Photo by Getty Images
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ただし、液体に金属を浸すだけでは使い勝手が悪いうえに、強い電力も生まれない。試行錯誤の末、1887年に屋井先蔵(やい・さきぞう)が時計用として、現在の乾電池の元になるものを発明した。

その後、改良が重ねられ、現在の円筒形乾電池が生まれたのである。

「電池が切れた」とはどういう状態?

ボルタ電池のように、電極そのものを直接、反応に使うことはまれで、電極はあくまで集電に用いて、反応の主体となる物質を周囲に配置し、起電させる。反応の主体となる物質を「活物質」とよび、電極は、反応の主体となるこの活物質と、活物質を保持して導電性をもたせ、集電する「集電体」などから構成されるのが主流だ。

電流が流れる一方で、活物質や電極はどんどん状態が変化していき、電解液の性質も変わっていく。電池から電力が生まれなくなることを、俗に「電池が切れた」というが、その実体は、反応が進んで放電できる限界を超えた状態を指している。

最も電気容量の大きい電池

いよいよ、「リチウムイオン二次電池(リチウムイオン電池)」の話に移ろう。

吉野さんが開発したこの電池には、どのような特徴があるのだろうか?