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吉野彰さんノーベル賞受賞!「リチウムイオン電池」はどこがすごい?

急速に普及したその実力となお残る課題

そもそもリチウムイオン電池とは?

2019年のノーベル化学賞を受賞した旭化成名誉フェローの吉野彰さんが今夜(日本時間の11日未明)、スウェーデン・ストックホルムで開かれる授賞式に臨む。

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式典前の公式記者会見で、「自分のような民間企業の出身者が受賞するのは難しいが、私の受賞が企業の若い研究者にとって大きな励みになる」と語り、産業界で活躍する後進の研究者にエールを贈った吉野さん。

 

その功績は、「リチウムイオン二次電池(リチウムイオン電池)」の開発で、スマートフォンから電気自動車まで、現在ではまるで社会インフラであるかのように、幅広い分野で使われている。吉野さん自身が、「リチウムイオン電池の市場が、これほど大きなものになるとは思いもしなかった」と驚くほどだ。

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しかし、リチウムイオン二次電池がどのような電池なのか、なぜ「二次」という名称がつくのか、といった基本的なことが、意外に理解されていない印象がある。

また、きわめて身近な存在でありながら、じつはいくつかの気をつけるべきポイントがあることも、あまり知られていないのが実状だ。どんなリスクがあって、どんな使い方をしてはいけないのか──この点も含め、リチウムイオン二次電池のしくみを基礎から紹介することにしよう。

「化学電池」と「物理電池」

まずは、電池の基本から振り返っておこう。

電池は、私たちの生活に欠かせないエネルギー供給源だ。電力網がないところで使う電気機器にはもちろん必須だが、じつは電池には、非常に多様な種類があることをご存じだろうか。

ふだん、あまり意識することはないが、じつは私たちは、さまざまな電池をシーンに応じて使い分けて生活している。

電池はいちばん単純にいえば、「電気を供給するもの=電源」だ。そして、私たちが日常「電池」とよぶものは、基本的には「化学電池」の仲間に入る。

化学電池とは、物質の化学反応を利用して電気を生み出すものの総称であり、形状や素材によっていくつもの種類が存在する。水素などから電気を取り出す「燃料電池」も化学電池の一種だが、電力を取り出すためのしくみが異なることから、一般的な電池とは区別されている。

他方、化学反応を使わない電池を「物理電池」とよぶ。

最も一般的な物理電池が「太陽電池」だ。その他、複数の金属や半導体を使って熱を電力に変える「熱電池」や、放射性元素の原子核崩壊にともなうエネルギーを電力に変える「原子力電池」などが物理電池に分類される。

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充電できる/できないの違い

電池はさらに、「充電できるか否か」によっても、通常2種類に分類される。

充電できない電池が「一次電池」で、一般に、乾電池はすべて一次電池である。

他方、充電が可能な電池を「二次電池」といい、充電池または蓄電池などともよばれている。前出の燃料電池と合わせ、化学電池は3つのジャンルに分かれているわけだ(図1)。

図1/化学電池の3分類
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一次電池、二次電池ともに、「プラス極」と「マイナス極」、そして「電解液」の3つの要素から構成される。

この3つの要素によって、電気はどのように流れるのか?