「意味のないクソ仕事」をする人ほど給料が高い…この大いなる矛盾

「ブルシットジョブ」とは何か
デヴィッド グレーバー プロフィール

——いわゆる仕事のための仕事ですね。なぜ、そうした仕事が増えたのでしょうか。

グレーバー 大きな組織は余分なもの——定期的に人を雇っている明らかに馬鹿げた仕事——を一掃するのではなく、無駄な脂肪を付ける傾向があるからだと思います。
社会はつねに、新しい仕事をつくって雇用を増やさなければならないという大きなプレッシャーにさらされています。

いま存在している仕事をカットしてはいけない、という風潮も強い。だから企業も政府も、定期的に不要物を排除することをせず、ますます意味のない仕事を少しずつつくり出していく。このようなねじれた状態にあります。

〔PHOTO〕Gettyimages
 

何もしていない人のほうが高給?

——あなたが著した“Bullshit Jobs: The Rise of Pointless Work, and What We Can Do About It”(邦訳未刊行)は世界中の耳目を集めています。多くの仕事は、じつは Bullshit Jobs(どうでもいい仕事:以下、BS職)だという内容です。本書の骨子は当初、『STRIKE!』という雑誌にエッセイとして発表していたのですね。

グレーバー そうです。エッセイの内容は、誰かに頼んでリサーチしたものではなく、自らの経験をもとに書きました。これまでいろいろなパーティに顔を出して、多くの管理職の人に出会ってきました。私は労働者階級の家庭に育ったので、管理職を担う階級の世界とは無縁でした。彼らのオフィス環境についてもあまり知らなかった。

そこで、人に会ったら「何の仕事をしているか、それはどんなものか」と聞くようにしていたのです。すると多くの人は「大した仕事はしていない」と言うんです。最初は謙遜しているのかと思っていました。でも、さらに追及すると、文字どおり大した仕事はしていないのです。

1日に1時間しか働いていないという人もいたし、それどころか1週間に1時間しか働いていない人もいました。オフィスに行って Facebook のプロフィールを更新したり、コンピュータ・ゲームをしたりして、1日の大半を過ごすそうです。

そういった仕事をしない人たちの話を聞いたことで、私は挑発的といってもいいエッセイを世に出しました。それが“Bullshit Jobs”です。ひょっとしたら、こういう人たちは特別じゃないのかもしれない。多くのオフィスワーカーは、実際何の仕事もしていないんじゃないか。だとしたらいろいろな物事に説明がつくぞ、というエッセイです。