「エルメスはバーキンより株を買え」超高級ブランドがずっと人気なワケ

なぜ、景気に左右されないのか?
小出 フィッシャー 美奈 プロフィール

値段が上がれば上がるほど需要が上昇する?

普通は物の価格が上がると需要は減る。値段の変化に対する需要の変化率を「価格弾力性」というが、大抵の物は値段が上がるほど需要は減るから需要曲線は右下がりで、価格弾力性を求める式にはあらかじめ「マイナス」の符合がついている。

値段が上がっても買わざるを得ない日常品と違って、「普通の贅沢品」は特に値段が上がると売上は大きく減るから、価格弾力性は1より大きい。(例:値段の1割上昇で売上が2割減る時の価格弾力性は0.2/0.1 =2となる。)

ところが、超高級ブランドでは値段が上がると需要が減るどころか、値段が上がれば上がるほど需要が上昇する「ヴェブレン効果」と呼ばれる現象が起きるのだ。値段が高ければ高いほどそれをどうしても買いたい人が増えるとなると、需要曲線は右肩上がりになる。これを享受できるだけのブランド力があれば、企業は値段を好きなだけ上げてそれに伴う利益率の拡大を得ることができる。

 

ヴェブレン効果を提唱した経済学者のハーヴェイ・ライベンシュタインは、この現象を支える消費行動を「スノッブ効果」、「バンドワゴン効果」、「ヴァブレン効果(自己顕示欲)」によって説明した。

まずスノッブ、つまり「見栄っ張りで気取り屋」の人たちは、自分はその他大勢の一般人とは違うと思っていたい。この人たちは、はっきり言って「他の人が買えない差別的な値段」だからこそ、ブランドものを身につけるのだ。ラグジュアリー企業が妥協して大衆価格のファッションブランドラインを出したりすると、この層はそっぽを向いてしまうだろう。

でも先鋭的な「スノッブ」だけでは右肩上がりの需要曲線を支えるには不十分だ。矛盾するようだが「スノッブ」の後には、「バンドワゴン効果」(パレードの楽隊のように、皆んながわーっと人気のある方向に向かう現象)と言って、他の人が持っているものを自分も持ちたいと思う人たちが大勢押し寄せる。

そこに3番目の要素として、「自己顕示欲(ヴァブレン効果)」、つまり「他人に見せびらかしたい」という心理が加わって、ブランド品が高額なほど人気が集中するのだという説明だ。

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