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The Voiceは誰の声なのか?『アナ雪2』を音楽から読み解く

〈Let It Go〉へのアンサー

何についての物語なのか?

興行収入は好調ながら、ステマ疑惑によって作品そのものと関係ないところで味噌がついてしまっている映画『アナと雪の女王2』。この記事で取り上げたいのは、そうした周辺的な事象ではなく、作品そのもの――特に音楽面から読み解く考察である。

映画を既にご覧になった方ならご存知のように、決して難解な物語ではないのだが、事件に対してひとつひとつ対処していくことで物語が進行していく前作に比べると、本作ではその場面でそのキャラクターが何故そのような行動をとったのか、その必然性が感じづらかったり、説得力が弱くみえてしまいがち。そのために前作ほど「物語にのれない」「感情移入しにくい」という感想に至ってしまう場合もあるようだ。

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これは無理に続編を作ったがゆえの問題なのだろうか。否、そうではないと筆者は提起したい。これは本作で取り扱っている社会問題の性質上、どうしても必要な要素なのだ。

まずは前作(以下、『1』と略記)の根幹となる部分を復習しておこう。アレンデール王国の王女であるエルサとアナ。何故か姉のエルサだけは魔法が使えるのだが、それはフィクションの冒険世界ではヒーロー、ヒロインだけに許された特権である。しかし日常生活をベースに考えれば、一種の障がいであり、他者と異なるという理由で差別や弾圧の対象になりかねないものでもある。

そのリスクに対して、父であるアグネル国王はエルサを事実上の軟禁状態におくことで乗り切ろうとする。エルサは自分が他人と違うことが諸悪の根源なのだと自分を責めているため、この判断に従順だ。しかし、いくつかの事件が重なっていくことで、エルサの魔法が国外の人物にまで知られることになり、もうこのままではいられないと悟ったエルサはひとり国を去る。その後、雪山に氷の城を築き上げる場面で歌われるのが〈Let It Go ありのままで〉であった。