ついに市へ賠償請求も…「武蔵小杉のタワマン」の価値はどうなるのか

行政の過失か、自己責任か
大原 みはる プロフィール

弱点をカバーすることが肝心

一方マンションの被害はどうか。そもそもマンションは一戸建てと比べて建物が上に伸びているのだから、断水・停電等の派生的な影響を除けば、住戸(専有部分)に対する浸水そのものによる被害の発生確率は低い。

特にタワーマンションは、通常1階部分はエントランスや店舗などで占められ住戸はなく、1階から2階までの階高(1階分の高さ)も住戸のみの階より高めにとられているのが普通だ。水害の際も、住戸そのものへの被害はほぼゼロに近いと考えられる。

 

また、共用部分を中心とする地下や低層階にひとたび浸水の危険が高まった時も、土嚢を設置するなどの対処には、管理会社というプロの支援を得ながら複数の住民が協力して当たれるのもマンションの強みだ。

あいにく浸水被害が出て断水・停電したとしても、あくまで生活がある程度不便になるだけで、少し待てば状況は間違いなく復旧するものである。それが待てない住民は、ホテルなどに避難することもできなくはない。タワーマンションに住めるような世帯であれば、たとえ1ヵ月ビジネスホテル生活を強いられたとしても、その損害はコントロール可能な範囲ではないか。

同じ浸水被害でも、自宅の補修や改築に大きな借金を背負ったり、自宅兼仕事場が失われ月々の収入が失われたりといった深刻な打撃を受けかねない一戸建てと比べれば、期間限定の生活の不便さ程度は、耐えねば申し訳ないさえと筆者には思える。

また、マンション管理組合といえば、特に数百戸が入居する大規模マンションでは意思決定の難しさが強調されがちだが、その反面、多数のメンバーが費用負担を分かち合うことができ一戸あたりの出費が少なくなるという点は、一戸建てと比較したときの強みであろう。

武蔵小杉に限らず、全国のタワーマンションは今回のことを教訓に、たとえ億単位の費用がかかっても、地下や低層階にある設備などを水密構造にして守るか、スペースに余裕があれば中層階に移して、ライフライン(特に電気・水道)の途絶という高層マンション特有の弱点さえカバーすればよいのだ。そうした対策さえできれば、今後の生活及び物件の資産価値を守ることにつながるのだから。