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ついに市へ賠償請求も…「武蔵小杉のタワマン」の価値はどうなるのか

行政の過失か、自己責任か

「タワマンは水害に弱い」という誤解

台風19号の来襲に伴う一連の報道で、とにかくデメリットが印象付けられたタワーマンションだが、筆者には残念に思えてならないことがひとつある。

以前も書いたとおり、川崎市は武蔵小杉地域の過去の浸水実績を公表していて、案の定、今回も過去と同じ場所、つまりタワーマンション以外の住宅地でも浸水が起きた。しかし、それに関する報道は神奈川県域のメディアを除けばわずかで、世間では「武蔵小杉=タワーマンション被害」という印象があまりに強く残ってしまったことだ。

本来、タワー型に限らず、マンションは浸水被害への防御という面では、一般的に一戸建てに比べて恵まれている。それなのに、今回の報道やネット情報ではそうした視点がごそっと抜け落ちてしまい、大きな誤解を生みだしたと言わざるを得ないのである。

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ここで、冷静に考えてみてほしい。一戸建てとマンションが並んで建っていたとして、1mの高さまで浸水が起きつつある状態を。

一戸建ての場合、まとまった共有部分を住民が協力して守るマンションとは異なり、被害の恐れは各戸に同時多発的に出現するため、近所の町内会などによる助け合いが多少はあるとしても、土嚢を積むなどの応急的な対処は各戸の判断と責任で行うことになるだろう。

 

その対処も空しく床上浸水に至ってしまった場合、少なくとも浸水部分の家財は入れ替えることになり、当面は自宅に住めない、最悪の場合は建て替えといった被害に直面することになる。仮に自宅兼店舗の物件であれば、生業を失うことにもなりかねない。

その経済的損失たるや、保険金などを無視して考えれば、家屋の修繕と家財道具の交換だけでも一軒あたり少なくとも数百万円程度、仕事の機材や原材料、商品の在庫まで失えば億単位になりかねない。