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トランプ大統領の「米中合意は大統領選後」発言はミスリードである

NYと東京の株価は下落したが

長期化するのか

ドナルド・トランプ米大統領のツイートを含む発言は、よほどの深掘り取材をしなければミスリードの危険が一杯である。

北大西洋条約機構(NATO)首脳会議は12月3日夜(日本時間4日未明)、ロンドンのバッキンガム宮殿でNATO創設70周年を祝う式典をエリザベス女王出席の下で行い、開催した。

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トランプ大統領はロンドン滞在中の3日夕、記者団から米中貿易協議について尋ねられて、次のように語ったというのである。以下、読売新聞(4日付夕刊)の引用。《「期限を設けていない」と述べ、合意が2020年11月の米大統領選後になる可能性を示したことで、米中貿易摩擦が長期化するとの見方が広がった。》このため、ニューヨーク株式市場のダウ平均株価は11月上旬以来の安値となり、値下がり幅は一時、450ドルを超えた。その後も、ニューヨークと東京の株価は下落が続いた。

トランプ氏は本当に「(貿易協議に)期限を設けていない」と述べたのか。発言を詳細にチェックすると、「In some ways,」(ある意味)と述べた上で、「I like the idea of waiting until after the election for the China deal, but they want to make a deal now and we will see whether or not the deal is going to be right.」と続けたのだ。重要なのは後段の「彼らは(中国)現段階でのディールを望んでいる」であり、脈絡からも「大統領選後まで待つ」というのはトランプ氏の本心ではないと理解すべきである。

取引人(deal maker)を自任する同氏が交渉の大詰めに差しかかっている今、相手の習近平国家主席から譲歩を引き出すために強硬姿勢をチラつかせて、揺さぶっているだけなのだ。

とりわけ、トランプ氏の短いフレーズは要注意である。筆者たちの用語で言えば、12月15日が当面の「締め切り日」(米中合意がなければ1600億ドル=約17兆4000億円相当の中国製品に15%の追加関税発動)である。「売れっ子書き手」のトランプ氏は、「雑誌編集者」に近い我が国メディアの外信記者をたぶらかして締め切り破りなど平気の平左なのである。

 
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