Photo by iStock
# クラシエ

あの「旧・カネボウ」を大復活させた「クレイジー経営」の極意

クラシエホールディングス社長が明かした

平成中期まで「カネボウ」の名で親しまれ、現在、トイレタリー・コスメティックス事業、薬品事業、食品事業の3事業で業績好調のクラシエホールディングスを取材した。カネボウ末期には経営危機に陥ったがそれを脱し、現在は経営ビジョンに「クレイジークラシエ」という思い切った言葉を掲げる。生え抜きの岩倉昌弘社長(58歳)に聞いた。

「クレイジー」な社長

「クレイジークラシエ」は、いくつかの候補の中で経営会議で一度否決され、再度提案してようやく承認された言葉です。

カネボウは極めて行儀がよく真面目な会社でした。だからこそ社員の多くが「商品はこう売るもの」といった社内の常識―当たり前のやり方に縛られ、それが商品力の低下に結びついた面もありました。「マジメ」だけでは激しい時代の変化に付いてはいけないのです。

 

そこで社員が面白いことや誰もやったことがないことにもチャレンジできるよう、思いっきり今までと逆側に振りました。社員に発表した時、周囲に「やはり岩倉はおかしかった」と言われましたが(笑)、それくらい思い切ったことこそ言う価値があるのだと思います。

最大の失敗談は、当社の人気シャンプー「いち髪」の発売時に事業会社の社長をつとめ、大コケしたことです。

いまは一般的になったノンシリコンシャンプーのはしりで、カネボウの経営が苦しかった時代に全社の期待を受け、多額の広告予算をもらいました。ところが売り上げはふるわず、半年後、広告費がほぼ尽きてしまったのです。大失態でした。

しかし、ここからが最高の成功体験になったんです。当時はまだ強いツールとして認識されてなかった口コミサイトで認知度を高め、一度使っていただくと良さがわかるからと、古くさい手法と言われていたサンプリングを行い、広告にも地方の支店の社員を起用するなど、必死で頭を使いました。すると「いち髪」が売れ始めたんです。「クレイジー」は私の成功法則なのかもしれません。