五輪直前!ドーピング違反を追及する“特命”部隊が結成されていた!

微量薬物も見逃さない秘密兵器とは?
中川 隆夫, ブルーバックス編集部

有機化合物の標準物質をつくりはじめたのは、1996年がスタートだという。国の標準をつくるという重要な仕事だが、いかんせん地味だ。何から手をつけたのですか?

「最初につくったのはエタノールです」

 

エタノールというと、アルコール?

「みなさんもやったことがありませんか? 検問で警察官が『ハーッと息を吹きかけて』というあれです。アルコールの呼気検査です」

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必要な標準物質は3000以上!

じつはそれ以前は、日本にはエタノールの原器といえる標準物質が存在しなかったのだという。それでは正確なアルコール検査ができないというので、まずはエタノールの標準物質をつくって、それを秤=ものさしとすることで、検査がおこなわれている。

つまり、30年前のアルコール検査と今のそれとでは、正確性に差があるということだ。

「精製したエタノールでも純度100%にはなりません。当たり前のように水は残っていますし、エタノール以外のアルコールなど、さまざまな不純物が含まれているのです。そのため、コツコツとゴミ拾いをつづけてやっとできあがる。一見バカみたいに思えるかもしれませんが、世界中で同じことをしているのです。もちろん、そういう体力のある国に限られるので……、10ヵ国に満たないでしょうが」

エタノールにつづいてつくられた多くの標準物質も、さまざまな分析に使われてきた。

「公害や農薬、環境問題……。それらを計測するときに必要なのが標準物質です。必要とされている標準物質は、3000以上にもおよびます。たとえば、食品衛生法で定められている農薬のリストだけでも800ほどあります。1個の標準物質をつくるのに2年かけていたら、どれくらいの年月がかかるか……、気の遠くなるような話ですね」

使い果たしたらイチから再生産

やっかいなことに、一度つくった標準物質も、瓶に入れて使っていると、フタを開けるたびに品質が落ちていく。そして当然、実際に分析で使えば瓶の中身は減っていく。

「『なくなったからまたつくって』といわれたら、同じ作業をイチから繰り返します。なるべくその作業を減らすために、瓶の中の物質を再検査して、有効期限を延長するということもおこないます」

そのような大きな負担を軽減するため、根気のいるゴミ拾いに替えて、新しい技術を使うという試みがはじまっている。

どういうものなのでしょう?

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