五輪直前!ドーピング違反を追及する“特命”部隊が結成されていた!

微量薬物も見逃さない秘密兵器とは?
中川 隆夫, ブルーバックス編集部

2019年5月になって、じつに11年前の2008年北京オリンピック4×100mリレーの銀メダルが日本人4人に授与されたのだ。優勝したジャマイカ選手のうち1人にドーピング違反が発覚したため、銅メダルから銀メダルへと順位が繰り上げられたのである。

 

銀メダルを手にした朝原宣治、高平慎士、末続慎吾、塚原直貴の4選手の顔にも困惑の色がみえた。

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どうしてこういうことが起こるのか。

進歩した分析技術で再検査すると…

それは、ドーピング禁止薬物の分析技術が進歩したから、というしかない。

オリンピックなどの指定された大会によって、分析機関は10年間、検体の保管を義務づけられるという。出場選手がその後、別の大会でドーピング違反を犯したときなどに、それ以前の国際大会の検体を調べることがあり、そのための保管期間だ。

その間に分析技術が進歩すれば、検体の採取当時は検出できなかった違反物質が検出できるようになる。だから、10年も経ってからメダルを剥奪されるという事態が生じるのだ。

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禁止薬物の種類が10倍になれば、分析技術は10倍にも100倍にも進歩しなければならないと、分析の専門家はいう。

ドーピング違反を認定するのは世界反ドーピング機関=WADA(ワールド・アンチ・ドーピング・エージェンシー)。国際オリンピック委員会(IOC)などが1999年に設立した、反ドーピング活動を推進する世界でたった一つの国際機関だ。

WADAの勧告を受けて、選手の出場資格などの処分をIOCが決定する。その権限は絶大で、前回のリオ大会ではロシアを国家ぐるみの不正と見なし、多くの出場停止選手を出した。「東京大会でも除外すべし」とWADAが決定し、IOCもこれに従うこととなったニュースが報じられたのは記憶に新しいところだ。

分析機関が資格を剥奪されることも

厳格なドーピング検査をおこなうため、ドーピング禁止薬物の分析機関もこのWADAが審査し、毎年数回の認定試験を課しているという。

現在、世界で認定されている分析機関は29~30機関で、日本ではLSIメディエンスという会社が唯一、認定を受けている。選手生命だけでなく、国家の威信さえも左右するドーピング検査だけに、分析機関に対する審査もまた厳しい。

ロシアの分析機関が資格を剥奪されたことに加え、他にも認定審査に落ちたところがあり、数年前には35あった分析機関は数を減らしている。また、その審査の厳しさから、分析機関が自ら認定を降りることもあるのだという。

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