「戦争」は怖い。でも「兵隊」は怖くなかった

こうして、死と隣り合わせの過酷な訓練をしていた矢先の昭和20年8月15日。突然、グラウンドへ集められると、日本が降伏したことを知らされます。「命が助かった」と思った瞬間であったそうです。

日本の降伏後、大学へと進んだ祖父は夏休みを使って進駐軍のもとで通訳のアルバイトをして学費を稼ぎました。祖父は当時を振り返って、「アメリカの進駐軍の兵士たちはとても明るく、紳士な人たちばかりで、牛肉やハンバーガー、パイナップル、バターなどたくさんの食料を分けてくれた」と言います。

祖父の話を聞いていると、「戦争」は怖いもの。でも、戦争に関わっている「兵隊」一人ひとりは怖くないんだと感じました。

もしかしたら祖父のような話はごく一部に限られた話かもしれません。ですが敵とされる彼らも自分たちと同じ人間で、同じ気持ちで戦わざるを得ない状況にいるから戦っていたと思うと、「戦争をする意味ってどこにあるんだろう?」とつくづく考えさせられます。

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86歳である私の祖母も、戦争が始まると毎日、防空頭巾を握り締め通学していたそうです。空襲警報がなるとサッと防空頭巾を被り、草むらに走り、身をかがめ、戦闘機が過ぎ去るまでじっとしていなくてはいけませんでした。

そのため勉強をしている場合ではなく、学校のグラウンドを芋畑にし、食料を確保するのでいっぱいいっぱいの生活を送っていたのそうです。

私は祖父母に質問しました。

「私たちの世代に何か伝えたいことはある?」

すると2人は揃って「人を殺してはいけないということ」と答えたのです。戦争は人の殺し合いです。私たちは二度と同じことを繰り返してはいけないと強く感じた瞬間となりました。