日米でまったく異なる「原爆」の記憶

『戦争の記憶』では、「パールハーバー」「慰安婦問題」「原爆」といったキーワードを題材に、学生とグラック先生の対話で生まれた言葉がそのまま綴られています。

読んでいて一番びっくりしたのは、まるで自分も対話に参加しているのではないかと感じてしまうほどのリアルさがあったことです。一見重そうなテーマだけど、文章の半分以上は先生による問いかけです。その先生の問いかけに自然と自分も考えながら読み進めていくので、自分の中にある気づきや考えを育ててくれました。

3つのテーマを様々な視点から掘り下げていくのですが、中でも印象的だったのは、それぞれのテーマに対するイメージや勉強したことが、グラック先生の講義を受ける生徒ごとに異なっていたことです。

具体例を挙げると、日本とアメリカで語られる原爆についての一般的な記憶が異なることがありました。アメリカでは「原爆は戦争を終わらせ、アメリカ人の命を救った」と話されるのに対し、日本では「原爆は戦後の日本への平和への使命へと繋がった」と話されることが多いのです。

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様々なバックグラウンドを持っていた生徒たちが集まり、戦争について語り合うことで、認識の多様さが浮き彫りになっていく。その様子を見ていると、他国の歴史を学ぶことがいかに大切か、私自身、ひどく痛感させられました。

正直に言うと、私は学生の時に受けた歴史の授業をあまり覚えていません。しかし日本史を学んでいる時、繰り広げられる人間ドラマや戦い方の進歩、統治の仕組みの変化などから「こうやって現代が作られたんだ!」と歴史と今が繋がったときに、「歴史を学ぶって楽しい!」と感じたことがあるのは覚えています。

けれど恥ずかしいことに、何年に何が起こったかなど内容はほとんど忘れてしまいました。結局テストでいい点を取るためだけに勉強してしまっていたと思います。