日本が「AIの波」に乗り遅れた残念な理由とは?

誰も無関係では生きられない時代
松原仁

このようにAIが進歩することによって、AIが人間の代わりにさまざまなことをしてくれるようになると期待される。人間は空いた時間で自分の好きな人間らしいことをすればよい。

一方で、進歩したAIが人間の仕事を奪うのではないか、AIによって富がさらに一部だけに偏るのではないか、さらにはAIが人間を支配するのではないかなどAIが社会を悪い方向に持っていくことも危惧されている。はたしてAIはわれわれの味方なのか敵なのか、もはやそんなことを言っている場合ではなく是が非でも味方につけなくてはいけない。

 

世界の中で取り残されている日本のAI開発

3回目のAIブームを経た現在に至るまで、日本はあまりAIに力を入れてこなかったが、その間アメリカ政府はずっと力を入れ続けた。その結果、マイクロソフト、アップル、グーグル、フェイスブックなどさまざまなIT企業がアメリカから生まれて大きく発展し、AIの研究開発に注力した。

「GAFAにはかなわない」と単純に片付けるのは危険だ。世界をぐるりと見わたしてみれば、アメリカだけが発展しているわけではない。日本がAIの研究開発において冬ごもりをしている間に、世界各国のAI技術は躍進を遂げている。

ハルト・インターナショナル・ビジネススクール経済学教授のオラフ・グロスと、カリフォルニア大学・人間共存型AIセンター事務局長のマーク・ニッツバーグによる『新たなAI大国』は、いくつかの国を取り上げ、AIの世界情勢について述べている。

両氏によれば、最近になってAIに力を入れて急速に力を伸ばしているのは、なんといっても中国だ。IJCAI(InternationalJoint Conference on Artifi cial intelligence:国際人工知能会議)という人工知能の権威のある国際会議で採択される論文の数はこれまでずっとアメリカがトップであったが、最近は中国が断然トップである。