日本が「AIの波」に乗り遅れた残念な理由とは?

誰も無関係では生きられない時代
松原仁

バブルとともに消えた日本のAIブーム

1980年代から1990年代にかけてAIは2回目のブームを迎えた。日本に本格的にAIが入ってきたのもこのときである(日本の人工知能学会も1986年に設立された)。

AI研究は1950年代にスタートしてからずっとアメリカがトップを走っていて、基礎でも応用でも圧倒的である。ところが当時は「日本がアメリカに取って代わるのではないか!」という期待があった。

理由はシンプルで、バブル経済のさなかにあった日本は景気がよく、アメリカは景気が悪かった。そこで日本のほうがAIの研究開発によりお金を出したのである。通商産業省(現・経済産業省)の第5世代コンピュータプロジェクトも行なわれた。日本で本格的にAIの研究プロジェクトができたのはこれが最初であった。

ところが、それなりの研究成果は出たものの、2回目のブームも期待外れに終わってしまい、1990年代後半にAIは2回目の冬の時代を迎えた。日本はアメリカに追いつくことができなかった。

photo by Roland Magnusson / EyeEm
 

「AIは敵か味方か?」と考えている場合ではない

2000年代にAIは3回目のブームを迎えていまに至る。そのきっかけはディープラーニングという機械学習の一つの手法が人間の顔の認識などにおいて非常に優れた性能を示したことである。

いまの3回目のブームの中でAIはとても進歩している。自動車は運転手がブレーキをかけなくても障害物を検知して自動的にブレーキをかけてくれる。AIスピーカーは人間と言葉でやり取りをしてくれる。スマートフォンの乗り換えアプリは適切な交通手段を教えてくれる。将棋や囲碁などのゲームではAIは名人よりもいい手を見つけてくれる。