アラサー女子の挑戦を描いたドラマ『凪のお暇』『わた定』の見事さ

2019年のテレビ界を振り返る(1)
碓井 広義 プロフィール

「素のままで生きる」という挑戦

今年の夏クールのドラマで目立ったのが、漫画を原作とする作品だ。

上野樹里『監察医 朝顔』(フジテレビ系)、石原さとみ『Heaven?』(TBS系)、杏『偽装不倫』(日本テレビ系)、そして黒木華の『凪のお暇』(TBS系)などである。

ヒロインたちは、『わた定』の結衣と同様、いずれも30歳前後。いわゆる「アラサー女子」であることも共通していた。

上野が演じたのはもちろん医師だ。石原はレストラン経営者。杏は派遣社員。それぞれ仕事を持っていた。しかし、『凪のお暇』の主人公、大島凪(黒木)だけは違う。「28歳の無職」だったのだ。

『凪のお暇』公式サイトより

凪が会社を辞めたのには理由がある。一つは周囲に自分を合わせる、つまり「空気を読む」ことに疲れたのだ。同僚から仕事上のミスの責任を押し付けられても文句が言えない。

またランチでも、その場にいるメンバーの顔色をうかがいながら話のネタを探す。そんな毎日に疲れ切っていた。

 

さらに恋人だと思っていた、同じ会社の営業マン・我聞慎二(高橋一生)が、凪のことを後輩たちに笑いながら話すのを立ち聞きしてしまう。

「アッチ(セックス)がイイから会ってるだけ」「節約系女子? 俺そういうケチくさい女、生理的に無理」って、これはひどいではないか。

過呼吸で倒れた凪は会社を辞め、我聞とも連絡を絶つ。会社からも恋人からも「お暇」を頂戴したのだ。