働く男たちは「育児のモヤモヤ」をもっと語っていいんじゃないか問題

だって「イクメン」なんて無理ゲーだし
才能で食べている男たちは育児とどう向き合ったらいいのか? 育児をするとクリエイターとしてのエッジが消えてしまわないか?
育児エッセイ『僕たちは育児のモヤモヤをもっと語っていいと思う』(自由国民社)をリリースした評論家の常見陽平、ホストがクラウドファンディングで育児をする異色作『キッズファイヤー・ドットコム』(講談社)の著者である作家の海猫沢めろん、育児エッセイ『そのオムツ、俺が換えます!』(講談社)の著者である漫画家の宮川サトシ、3人の男たちが育児にまつわるモヤモヤを語り合った――。

(※『僕たちは育児のモヤモヤをもっと語っていいと思う』の刊行を記念して下北沢B&Bで開催されたトークイベントを記事化したものです)

「イクメン」という言葉のモヤモヤ

常見陽平(以下、常見): まず、『僕たちは育児のモヤモヤをもっと語っていいと思う』この本を世に出せたことが感無量です。僕は妊活に5年取り組んで、子どもが生まれて2年と3ヵ月。妊活をのりきって、子どもが生まれなければこの本は書けなかったわけですから。

そしてこのイベントですが、ぜひご一緒したかったおふたり、作家の海猫沢めろん先生と漫画家の宮川サトシ先生にお越しいただきました。おふたりのお子さんはおいくつなんですか?

宮川サトシ(以下、宮川): 4才の娘です。

海猫沢めろん(以下、めろん): うちは8才ですね。小学校2年生の男子なんですけど、なんかもう、小学生になると違うんですよ、全然。「子育て」ではなく「教育」みたいな感じです。

常見: その違いとは?

めろん: 言葉が通じるんですよね、単純に。それまでは言ってもなかなかわからないんだけれど、教育は言語で注入しなきゃいけないじゃないですか。今はそれが通用するから、男親の方が出番が多いかもしれないですね。

 

常見: 今日、議論したいことの一つは「イクメン」です。僕は「イクメン」という言葉が大嫌いで、断固反対なんですよね。父親が子育てに積極的に関わることは賛成ですし、私も実践しています。ただ、この言葉があること自体が、「男性の育児参加は異常」ということを物語っています。

イクメンイクメンと煽られても、仕事の量などを考慮してもらえないと、単なる労働強化です。ちょっと意識高い系の雑誌が流布するような、よくできた父親イメージがかえって男を苦しめている気がするんですよ。

めろん: 俺は「イクメン」という言葉が遠すぎて抽象的すぎて何も思わないんですよ。だからそう言われたら、単に褒め言葉としてうれしいです。

宮川: 僕も「イクメン」って言葉は嫌いなんです。でも、もうとっくにダサい言葉になっている気がするんですよね。いまさら取り上げてさらし首にする必要もないくらい、「イクメン」という言葉は死んでいるのかもしれないですよ。