中国、AI(人工知能)大国化するウラで「新・階級社会」が始まった

プライバシーとお得、どっちを取る?
オラフ・グロス, マーク・ニッツバーグ

今のところ参加は任意だが、中国政府はすでに請求書の支払いができない人や、好ましくない行動を取る人の旅行を制限している。当初の予定通り2020年にシステムが義務化されれば、中国15億人の経済生活や社会活動にどんな影響が出るのだろう? いつかある時点で、行きすぎたデジタル・コントロールが、安定を高めるどころか揺るがすような、思わぬ結果を招くかもしれない。

 

プライバシーより「勝ち馬に乗る」ほうが重要

欧米が懸念しても中国人の間にさして不安は広がっていない。理由の一つは、スマート・テクノロジー使用の根底にある社会契約が、中国とほかの国とでは違うことだ。

理由1:安定の名のもとに権力に服従する、儒教の伝統が今なお幅をきかせている。

理由2:今日の中国人は先進技術の力や今後の恩恵に対してかなり楽観的である。

この2つの理由については、中国の多くの研究者、AI開発者、起業家がインタビューで語っている。

さらにバイドゥ社長でマイクロソフト・リサーチ・アジアの元トップ、張亜勤(チャン・ヤーチン)は言う。

「過去40年ほどの中国の歴史を振り返れば……変化を受け入れた人たちが誰よりも得をしたことがわかります。しかも、政府の方針は一貫していますから、(テクノロジーの)変化に遅れて乗る人たちでさえ、勝ち組になれるのです

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