中国、AI(人工知能)大国化するウラで「新・階級社会」が始まった

プライバシーとお得、どっちを取る?
オラフ・グロス, マーク・ニッツバーグ

ただし、「世界の情報がよどみなく入ってくるようになれば、問題もすぐに世間の注目を集めるでしょう」と、マイクロソフト・リサーチ・アジアのトップ、洪小文(シャオウェン・ホン)は述べた。

また、社会信用スコアという概念を受け入れている人たちにとっても、未解決の問題はある。一つは、「社会信用システムによって、新たな社会階級が生まれるのではないか」という専門家の懸念だ。格付けの高い人たちが、低い人たちを避けるようになるからだ。

 

もしも自分の「信用格付け」が間違っていたら?

信用格付け制度による、さらに差し迫った問題もある。

「自分の信用スコアが間違っていたとしたら?」
「間違いを正したいときや、異議を唱えたいときは、どうすればいいのだろう?」

実はアメリカでさえ、エクスペリアン、トランスユニオン、エキファックスといった信用調査機関が寡占状態にあり、芳しくなかったり間違っていたりする信用スコアに対処する手段は不十分だ。実のところ、1年間に3回以上、自分の信用報告書のコピーを求めただけで減点される。

ただし、アメリカのシステムは手続きが複雑で格付けシステムもあいまいなのとは対照的に、中国政府はそのアプローチと指針をオープンにしている。汚職などの信頼に値しない行動パターンに対抗し、経済取引や個人間取引の信頼性を育てる、というのがそれだ。

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「人権」という欧米のレンズを通して見れば、AI搭載の社会信用システムが「デジタル・タトゥー」を刻むことになるのではないか、という懸念はある。犯罪行為や金融活動だけでなく、人口統計学的な特性や人間関係の「小さなつまずき」まで詳しく調べ、数値化し、公表するというのだから。