女が男を差別? 恋愛対象ではない男性を排除する「負の性欲」の正体

まずは「自分の加害性」を認識すること
トイアンナ プロフィール

男性から女性へ向けられる「負の性欲」

まず、もともとの議論では女性が「正の性欲(一般的に言われる性欲)」を感じるのは、一握りの男性に対してだけ、という論旨があった。だが、女性にも正の性欲はある。

日本最大級のアダルトコンテンツを提供するFANZAから昨年、ユーザーの男女比が7:3だと報告された。「女性向け」と銘打たれたアダルトビデオこそ少ないものの、ボーイズ・ラブや男性向けのアダルトコンテンツを通じ、かなりの女性も正の性欲を発散していそうだ。「正の性欲」は男が抱くもの、「負の性欲」は女が抱くもの……という対立構造に疑問がわく。

本稿の筆者は女だが、男女の両方からセクハラに遭った経験がある。それも、「まだ結婚してないの?」といった言葉のセクハラではなく、胸をわしづかみにされる犯罪としてのセクハラだ。男性も女性も、「正の性欲」に支配され加害者になることがある。

 

また、男性も女性へ負の性欲を抱き、望ましくない相手を攻撃することがある。たとえば「35歳を超えた女はババア」「ブス」といった発言は、自分が性的に関心のない相手を傷つける言葉だろう。

私はいずれも面と向かって言われたことがある。女子高生の62%が何らかの形で性差別、性的嫌がらせを受けたとの調査もあることから、私だけの経験ではないはずだ。そのほかにも、よく見聞きする男性から受ける「負の性欲」にはこんな例がある。

・ブスと言って、小学校時代からいじめられる
・あいつと寝たらアソコが臭かった、などを飲み会やネットで晒される
・35歳を超えた女は、子供を産めないから無価値などと公で言われる

これらは、問答無用でハラスメントだ。場合によっては、名誉毀損罪に該当するものものあるだろう。男性が残酷な形で負の性欲をぶつけられてきたように、女性も負の性欲を男性から受けている。

もっといえば、同性間にも負の性欲はある。

ゲイに向かって「俺はホモじゃないし」「触んなよ、俺そういうんじゃねえから」と笑いながら拒絶するなら、それは負の性欲で生まれた加害行為だ。女性同士でも同じで、何もしていないレズビアンに対して「私は男しか好きにならないし」などと宣言するのも、負の性欲によるハラスメントだろう。