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女が男を差別? 恋愛対象ではない男性を排除する「負の性欲」の正体

まずは「自分の加害性」を認識すること

数日前、「負の性欲」という言葉がTwitterでトレンド入りした。発端は、ある男性が2018年に書いたブログである。

そのブログによると、性欲には「正の性欲」と「負の性欲」の2種類があるという。正の性欲は「望ましい相手に近づこう」とするプラスの力、そして負の性欲は「望ましくない相手を遠ざけよう」とするマイナスの力とされる。

ブログの筆者は、女性は正の性欲こそ少ないが、恋愛対象でない相手を遠ざける「負の性欲」が強いと述べた。「負の性欲」という新しい語感が話題となり、賛否両論入り乱れる議論が発生したのだ。

私たちが一般に認識する性欲は、好きな相手に近づこうとする「正の性欲」だろう。だが、確かに恋愛対象ではない相手を避けようとする「負の性欲」は存在している……どころか、負の性欲が理由で嫌な目に遭った人も多いのではないだろうか。

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負の性欲の議論に欠けた「ある視点」

もともと、「負の性欲」という概念を提唱したブログで語られていたのは、こんな内容だった。

1. 女性が正の性欲を抱くのは一握りの男相手だけ。負の性欲が強い
2. 男を「キモい」と遠ざけるのは女だけ
3. 女が「キモい」と男を遠ざけるのは性欲の発散(自慰行為)
4. 「キモい」は表現規制すべき
参考資料:女性専用化社会

こうして論旨を列挙すると、結論である「4. 『キモイ』は表現規制すべき」に賛同できても、前段となる部分に反論の余地があるため議論が沸き起こったと思われる。

そもそも、2018年の個人的なブログが今更Twitterで取り上げられ、袋叩きに遭うとは著者も思っていなかったであろうと、正直なところ同情する。

だが、ここまで広がった以上「誰が書いたか」からは完全に切り離し、「負の性欲」がどんなものかを明らかにする目的で、論旨を検証していこう。