『時代』『糸』…中島みゆき「数々の名曲」は、いかにして生まれたか

詩人としての唯一無二の世界観
週刊現代 プロフィール

「『糸』は『EAST ASIA』というアルバムに収録された曲です。当時はドラマの主題歌に起用されることもなく、ただアルバム中の一曲という位置づけでしかありませんでした。

最初この曲を聴いたときには、歌詞がロマンチックで、青すぎるような印象を受けました。こそばゆくて、彼女に『これは運命の赤い糸がモチーフなの?』と冗談めかしてコメントしたのを覚えています」

 

その後、『糸』は'98年に発売されたシングル『命の別名』のカップリングとして再録。同年のドラマ『聖者の行進』(TBS系)の主題歌としても採用されたが、話題にはならなかった。

状況が一変したのは、発表から10年以上が経った'04年のことだった。「Mr.Children」の桜井和寿氏がチャリティーバンドでこの曲をカバーしたことで、一気に知名度が上がったのだ。

「中島さんの歌は、後になってから化けることが多いんです。彼女が先取りしすぎているのか、時代が遅れすぎているのか。中島さんはいつも、『私はマイペースで、世の中から一周遅れた人間だから』と言います。でも、実は誰よりも時代の先頭を走っている。そういう特別な存在なのだと思います」(前出・瀬尾氏)

中島が生んだ名曲は時を経て色あせるどころか、日を追うごとに輝きを増すのだ。

『週刊現代』2019年11月23・30日号より