宮崎駿、黒澤明、ピカソ、孫正義、ジャニーズ……。アニメ、映画、アート、経営、芸能界などさまざまな分野で活躍を続ける人たちは、いずれも「才能」という厄介なものの扱いに優れている。一方で、最新作『分断を生むエジソン』が、ビジネス書としては異例のAmazon日本文学カテゴリーで一位を獲得した北野唯我氏は、「才能があることが、幸せになるのか?」と疑問を投げかける。果たして、自らの才能を幸せにつなげるためには、何が必要なのか。
才能があることは幸せなのか
才能があることは、幸せにつながるのかどうか――。
それは永遠のテーマなのかもしれない。そう思うことがありました。
少し前にこんな記事『全米騒然、2人のセレブの自殺が語る「全てを持っている人生が幸せだとは限らない」』が話題になりました。
記事の内容によると、アメリカニューヨークで、二大スターと呼ばれる人物が立て続けに自殺した、ということでした。金と地位と才能、しかも、多くの人々から愛されていた。そんな人物の自殺のニュースは日本でも大きな話題となりました。
私は普段、IT企業の役員として働きながら、コツコツと物語形式の本も書き残しています。そのため、アートとビジネス。この二つの領域における、大きなルールの違い、を痛感することがあります。
それは、投資対効果、に対するルールの違いです。

どういうことでしょうか?
むかし、私はある著名な編集者と話したとき、こういう話を聞きました。いわく「作家として生き残るために一番重要なのは、作品の数を残すこと、つまり、多作であること」だというのでした。
私はそのとき、まだ一作目の作品をたまたまた当てたばかりでしたので、正直、「そんなものなのかなぁ」という感想でした。