いよいよ激化の米中貿易戦争で、中国が「負けている」と言えるワケ

日本にも大きな被害が出る
野口 悠紀雄 プロフィール

米中間の貿易が大きく落ち込む

追加関税が課された結果、米中間の貿易が大きく落ち込んでいる。

今春までの状況については、7月29日公開の「自由貿易の理念を捨て、中国の成長を阻止する…米国の戦略は是か非か」で述べた。その中の「図表2 アメリカの対中貿易伸び率」で示したように、アメリカの対中輸出は、2018年夏から伸び率がマイナスになった。また、アメリカの中国からの輸入は、2018年末頃から伸び率がマイナスになった。

アメリカの輸出入の最近の状況は、図表1に示すとおりだ。2019年には、輸出入とも対前年比がマイナスだ。9月では、輸出がマイナス11.6%、輸入がマイナス19.6%だ。

一方、中国の貿易状況は、図表2に示すとおりだ。2019年上半期において、対米輸出は対前年同期比がマイナス8%になっている。

しかし、対全世界輸出は0.1%の増となっている。EUやASEAN向けの輸出が増えているためだ。他方、全世界からの輸入は、対前年比がマイナス4.3%となっている。日本からの輸入はマイナス6.4%だ。

 

このように、中国の純輸出(輸出マイナス輸入)は、増えている。したがって、GDPに与える影響は、むしろプラスになっているわけだ。

それにもかかわらず、中国の経済状況は悪化している。これはなぜであろうか? これについては、後述する。

貿易の落ち込みは米中間だけのことではない。日本の貿易も落ち込んでいる。

対前年同月比の推移を見ると、図表3に示すように、17年夏頃がピークだった。その後、対前年同月比は低下傾向で、18年10月以降は、マイナスの月が多くなっている。19年9月の対前年比は、マイナス5.2%だ。

輸出額で見ると、18年4~6月期には20.2兆円だったのが、19年4~6月期には19.1兆円になった。したがって、1.1兆円の減少だ。

なお、中国に対する輸出は、17年には大きく増えたが、19年から対前年比がマイナスになっている。

このように、米中貿易戦争の影響は、米中間の貿易だけではなく、日本の輸出にも大きな影響を与えているのだ。

元レートについては、8月27日公開の「日本には円高が直撃…米中貿易戦争の深刻度、経済構造でこんなに違う」で述べた。その中の「図表3 ドル・元レートの推移」で示したように、米中貿易戦争の勃発以来、元安が進んだ。2019年7月には、1ドル=7元を超える元安になった。

その後の状況は、図表4に示すとおりだ。7月の元安ピーク以降は、元高方向に動いており、11月14日では、1ドル=7元だ。

図表1 アメリカの対中貿易、対前年同月比(%)

資料:U.S. Department of Commerce

図表2 中国の主要国・地域との貿易額

注:国・地域の順序は各項目の金額による。
資料:JETRO(元資料:中国海関総署)

図表3 日本の輸出の対前年同月比(%)

資料:貿易統計


図表4 元レート(1ドル当たり元)

資料:ロイターズ