ふるわれる「大ナタ」
橋本、青山両組長は、高山氏が出所後に名古屋入りした際には新幹線ホームまで出迎えに出るほど気を使っていた。それだけに、反発は大きい。山口組幹部内でも異論が出ていたという。
だが、橋本組長はこの要求をのみ、引退の道を選んだ。それに先立ち、兼一会は直参に昇格している。
警察幹部は、状況をこう分析する。
「今回の強引な人事のポイントは、力とカネだ。力がある者、率先して抗争に参加しようとする者、それからカネを出す者を幹部に登用し、組織力を高め再統一を果たそうということだろう。弘道会の人事がまさにその象徴で、野内と小澤を『力』と『カネ』の両輪としたわけだ。
二次団体については、力の要求が強い。高山は出所直後、獄中から出した指示通りに事が運んでいないとして主要な二次団体組長らを叱責し、檄を飛ばしたが、これはすぐに行動に結びついたとみられる」
11月27日の事件は、その最たるものだという。実行犯は、高山氏に気合を入れられたうちの一人とされる、二代目竹中組の安東美樹組長の元付人。武力に長けたボディガードであったと言われている。
また同月18日には、やはり神戸山口組の幹部が熊本で襲撃されているが、実行犯は高山氏に引退を迫られていた二代目伊豆組傘下の幹部らだった。
こうして高山氏は、苛烈な戦闘指揮に加え、人事刷新にも大鉈を振るっているというのだ。それにしても、これほどのことをなしうる原動力はいったいどこにあるのか。