日本の「お金」の教育が、いまだにアメリカに比べて時代遅れなワケ
いつまで「お金は汚いもの」と思うのか株式会社マネネを立ち上げ「金融教育」を日本に広めようと尽力している森永康平氏が、アメリカの金融教育の実情と比較しながら、解説する。
家庭科の授業で「お金」の教育?
2022年度から実施される高校の新指導要領では、家庭科の授業の中で「資産形成」について指導することが決まりました。
これまで、「金融教育」とは一切縁のなかった日本においては、非常に大きな一歩だと感じています。

しかし、このことがニュースで報じられると、SNS上では否定的なコメントが多く見られました。
「家庭科の先生に教えられるわけがない」、「子どもに投資を教えるのはよくない」などです。
前者はまだしも、後者の意見こそ日本の金融リテラシーが低いということを表す何よりの証拠となっています。
お金について学んでいない人ほど「投資=悪、危険」という発想を持つのです。
今年の6月に金融庁が発表した『高齢社会における資産形成・管理』という報告書の中で、95歳まで生きるには夫婦で約2,000万円の老後資産が不足するという試算が示され、国民的議論になりましたが、筆者の分析によればもっと多くの額が必要になる世帯の方が多いと考えられるため、老後に備えて投資、つまり資産運用をする必要性は高まっているのです。
自助努力が求められる社会となり、これからもっと厳しくなっていく時代を生きていく子ども達に対して、依然として「投資=悪、危険」といった古臭い価値観持ちながら接することがいいことなのでしょうか。
筆者には子どもが3人いますが、少なくとも自分の子どもには金融教育をしっかりしたうえで社会に送り出したいと考えています。
ようやく日本が「金融教育」の第一歩を踏み出すわけですが、海外と日本を比較した時に、どのような違いがあるのでしょうか?