銃撃された中村哲氏…生前に語っていた「アフガンで井戸を掘る」理由

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現代ビジネス編集部

タリバン政権崩壊後、世界中の注目をあれほど集めたアフガンでしたが、今では再び、世界から忘れられようとしています。日本でも、東京で復興会議が開かれて、アフガンに平和が戻ったと思っている人が多いでしょう。しかし、現実はまったく違います。

2002年のアフガニスタン・首都カブール〔PHOTO〕Gettyimages
 

タリバン政権が崩壊した直後、200万人いた難民は一時、30万人にまで減りました。ところが今年の2月に発表された数字では、再び180万人にまで増えている。一度パキスタンから帰郷した難民が生活できず、難民キャンプに戻ってきてしまったんです。

故郷に帰っても、畑は干ばつで枯れてしまっている。それどころか、その日の飲み水にも事欠く状態です。仕方なく泥水を飲む。それが原因で病気にかかり、死んでいくのです。難民問題が一向に解決しない現実を前に、私たちは考えました。病気を治すのも大切だが、なによりもまず、水の確保こそが重要だと。医療活動に加えて、利水事業が始まったのです。

井戸を掘り、地下水路を整備する。砂漠化が進んでいた土地が、半年足らずで緑の大地に蘇るのです。故郷を捨てた難民たちが再び帰ってきました。

井戸掘りの活動を始めてから3年がたち、完成した井戸は1000ヵ所を越えました。救った集落の数は60を超えています。

今は用水路の建設に取り組んでいます。長さ16km、幅5mと大規模なもので、これが完成すれば十数万人が自給自足の生活を送れるだけの耕地が蘇ります。この工事の予算は2億円。現地の人間を使い、土地に伝わる伝統的な工法を行う。日本のODAに比べて10分の1、100分の1の金額でやれるんです。

私たちの組織は小さいですが、現地の人々が求めることを最大限に行なっている自負があります。今後も身の丈にあった、現地に密着した活動を続けていきます。

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