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銃撃された中村哲氏…生前に語っていた「アフガンで井戸を掘る」理由

本当に役に立つ支援をするために

アフガニスタンやパキスタンで30年以上にわたって人道支援活動に携わってきた中村哲医師が、12月4日、銃撃され亡くなった。73歳だった。中村氏は2003年に「アジアのノーベル賞」とも称される「マグサイサイ賞」を受賞している。以下は受賞直後、中村氏が自身の心境を驚くほど率直に語ったインタビューの記録だ(「週刊現代」2003年9月6日号初出・太字以外の部分が中村氏の発言)。なぜ彼は、井戸を掘り続けたのか——。

マグサイサイ賞受賞の際の中村氏〔PHOTO〕Gettyimages

「診ない、とは言えない」

マグサイサイ賞の受賞の報(しら)せを聞いたときは、本当に嬉しかった。自分が長年やってきたことがアジアの人たちに認めてもらえたわけですから。

こう言って笑うのは中村哲氏(56歳)。アフガニスタン難民に対する医療支援活動に従事する日本人医師だ。中村医師は’84年、アフガン国境の街、パキスタンのペシャワールに着任した。以来19年間、アフガンの弱者のために尽力してきた功績が認められ、「アジアのノーベル賞」とも称されるマグサイサイ賞を受賞することが決定した。

 

赴任した当初は、ハンセン病の患者を治療するのが目的でした。ところが現地に来てみると、栄養失調で病気にかかりやすくなっている子供が非常に多い。また、アフガンの多くの地方が「無医地区」だということもわかってきた。目の前に患者がいるのに、ハンセン病じゃないから診ない、とは言えません。結局、あちこちを回って診察することになったんです。