安倍晋三政権を支える重要閣僚の麻生太郎副総理兼財務相が今年5月、海上自衛隊の潜水艦「うずしお」で行った一日がかりの体験搭乗。横須賀地方総監部が隊員向けに公表している「主要広報週間予定」に、麻生氏の体験搭乗の予定が記載されていないことがわかった。
防衛省としては隊員にさえ知らせず、関係者だけでこっそり実施し、「なかったこと」にしたかったのではないのか。

潜水艦の体験搭乗を東京新聞が特報した3日、麻生氏は「防衛予算の査定作業をするうえでも、現場環境を知っておくことは大事だ」と述べたが、それほど重要な体験搭乗だったならば、なぜ日程を公表したうえで成果を説明しなかったのだろうか。
なぜ、副総理兼財務相に就任した2012年12月から6年以上も経って、急に潜水艦の「現場環境」に関心を持ったのか。今回の体験搭乗が来年度防衛費の「査定作業」にどのように反映されるのか。麻生氏には説明する責任がある。
記録には何も書かれていない
麻生氏は今年4月、自らの希望で潜水艦に体験搭乗したい旨を防衛省に伝え、防衛・財務両省で調整した結果、部隊の休日にあたる5月18日の土曜日に実施することが決まった。
麻生氏は同日午前、神奈川県横須賀市の米海軍横須賀基地内にある海上自衛隊第二潜水隊群所属の「うずしお」に乗艦。「うずしお」は出航後、相模湾で潜水し、同日夕までに同基地に戻った。艦内では海上自衛隊名物のカレーが昼食として振る舞われ、麻生氏は実費440円を支払った。