地球のみなさん、こんにちは。毎度おなじみ、ブルーバックスのシンボルキャラクターです。今日も "サイエンス365days" のコーナーをお届けします。
"サイエンス365days" は、あの科学者が生まれた、あの現象が発見された、など科学に関する歴史的な出来事を紹介するコーナーです。
日本では、30年後までの科学技術発展の中期的な方向性を展望する予側調査が、1971年から約5年ごとに実施されてきました。
そして1982年のこの日、当時の科学技術庁が『科学技術予測調査』(現在は文部科学省により実施)で、「2003年にはがんの転移を防ぐ有効な手段が開発される」との予測を発表しました。
残念ながらこの予想は外れ。
分子生物学の長足の進歩で、がんの発生メカニズムの詳細が解明されつつあるものの、がんの転移抑止は現在でも実現できていません。『未来技術予測』でも、がん制圧は繰り返し取り上げられる長期目標ですが、毎回その実現予測年は先延ばしされています。
ただし、2019年12月、国立がん研究センターは、「がん診療連携拠点病院」など専門的な治療をする全国の病院で2010~11年にがんと診断された患者の5年後の生存率は66.4%で、09~10年と比べ0.3ポイント増加したと発表しました。
がんセンターのこの調査は、5回目だそうですが、毎回ポイントは改善方向で推移しているということで、遅速ながらもがん克服に近づいていることがわかります。
近年、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬などの画期的な新薬が誕生していますが、はたして、“病の皇帝”と呼ばれる「がん」が制圧される日はいつのことになるでしょうか?

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