「軍歌の『同期の桜』がなぜ!?」
「平成」から「令和」へと改元されて初めての秋、SNSで話題となったテレビドラマがある。
「北の小さな離島から、1人上京した主人公、サクラ。大手ゼネコンの入社式で、私の夢は、故郷と本土を結ぶ橋を架けること!と社長に宣言。夢に向かって、脇目も振らずに突き進むサクラに、最初は、冷めていた同期達も、次第に巻き込まれていく。しかし、配属に影響する大事な新人研修で、社長の理不尽な言動に、サクラの<忖度できない>性格が、思わぬ事態を引き起こす・・・。これは、どんな逆境にも自分を貫くサクラと、その同期たちの10年間の記録―。」(公式サイトより)
という内容の日本テレビ制作の高畑充希主演ドラマ『同期のサクラ』である。

わたしはツイッター上でこの『同期のサクラ』と言うトレンドワードを見かけたとき、一瞬自分の目を疑った。「軍歌の『同期の桜』がなぜ!?」と。
こう言った既視感がある事例は近頃幾つかあった。
たとえば、ラジオドラマ放送時刻には銭湯の女湯が空になったとまで言われ、後にNHK朝の連ドラにもなった往年の劇作家・菊田一夫の原作による映画『君の名は』(1953年)と、記憶に新しい新海誠監督の大ヒット劇場公開アニメ『君の名は。』(2016年)などがそうだ。両者、シナリオやコンセプトに直接関連性が無いにもかかわらず、60年以上前にヒットした作品のタイトルをほぼそのままの読みや字面で命名した物があるのだ。