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『スター・ウォーズ』悪の皇帝は、いったい何に苦しみ「闇落ち」したのか

世界情勢への既視感

世界観のカギは「帝国」

文化人類学者にして漫画家という異色のキャリアを持つ都留泰作さんは、その著者『(面白さ)の研究 世界観エンタメはなぜブームを生むのか』で、「スター・ウォーズ」の成功の鍵は「世界観の構築にある」と指摘していました。

実際、生みの親、ジョージ・ルーカスは、ほとんど神経衰弱になるほど世界観の構築に力を注いだと言います。その世界は確かに、あまりにもあまりにも、魅力的でした。

<遠い昔、はるか彼方の銀河系で…>。その宇宙では、銀河帝国が成立していた。

つまり「スター・ウォーズ」の世界観の鍵は「帝国」。ということは帝国の創設者、シスの暗黒卿ダース・シディアスこと皇帝パルパティーンは「スター・ウォーズの最重要人物」と見なされていいはず。

 

しかし、この人は、暗黒面の人気を弟子のダース・ベイダーに持って行かれて、すっかり忘れられた感じがします。

いよいよep9が公開されて完結する続三部作でも、登場するカイロ・レンはダース・ベイダーの「フォロワー」でしたが(孫だからしかたがないのですが)、筆者は、皇帝パルパティーンこそ、「スター・ウォーズ世界最高の政治家」として、あらためて再評価されるべき人物だと思います。

2015年、アメリカで行われた「スターウォーズインコンサート」のスクリーンに映し出された、ダース・シディアス(Photo by gettyimages)

スター・ウォーズ世界最高の政治家といえるワケ

彼は、恐怖で宇宙を支配した独裁者だと語られた。しかしそれはあくまで、共和制支持の「反乱軍目線」であったことはおさえておく必要があります。

たとえば、現代では肯定的に評価されるローマ皇帝ティベリウスも、共和制支持者であったタキトゥスの筆にかかると、その治世は「恐るべき圧政」と評価されたものでした。パルパティーン自身が指摘していましたが「善も悪も見方次第」なのです。