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韓国好きの若者が放った「純ジャパ」という言葉に抱いた違和感

わたしにはその意味が分からなかった…

「アンニョンハセヨ」と声をかけられて

枕もとのiPhoneから聴こえる心地よいアラーム音で目を覚ます。手にとって、時間を見ると7時ちょうどだった。いつもなら1時間ほど二度寝するが、これから取材なので、眠たい目をこすりながら洗面台の前に立った。

洗顔のあとは、シェービングクリームを塗り、T字の剃刀を顔にあてる。洗面台の鏡には泡まみれの、のっぺりした顔を写す。鏡に映るわたしを見ながら、剃刀を慎重に動かしつつ、あることを思い出していた。

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新大久保を歩いていたとき、「アンニョンハセヨ」とオルチャンメイクの女の子が道を訊きたかったのか、声をかけてきた。日本語で返事すると「ごめんなさい。顔を見て、留学生の方だと思って」と彼女は言った。

帰宅後、この話を家族にすると「あんたの顔は韓国人じゃないと思うんだけどね。わたしはフランス人だから、お前も彫りが深いはずなのに」とフランスに縁もゆかりもない母が冗談交じりに言った。

さりげないできごとが頭のなかでちらつき、剃りおわった顔を見ながら、いったいどこが韓国人っぽいのだろうと考えた。

 

朝食を済ませ、クロスバイクで1時間ほど走り、いつもの場所に自転車を置き、駅へ歩く。途中、彫りの深い、目鼻立ちのくっきりした白い肌のモデルが笑顔で鍛えているスポーツジムの看板の前を横切った。

駅のホームでしばらく待っていると、電車が来た。祝日だったせいか、車内の座席は空きの目立つ。ロングシートに座り、取材テーマの「純ジャパ」について聴きたい質問を確認するため、バッグからノートを出した。