「おっさんずラブ-in the sky-」ポスタービジュアルより(C)テレビ朝日

大人気『おっさんずラブ』シリーズが斬新かつ画期的だった理由

歴史とのつながり、新しいメッセージ…

ドラマになった男どうしの恋

日本のメディアにおいて、男性どうしの恋物語を描くコンテンツは、まず少女漫画の分野で女性読者をターゲットにして誕生し、その後、やおい、BLと表現を変えながら、現在もコンスタントに作品が発表されている。

私はほぼ2年前に、ここでBL漫画の歴史を振り返り、今後も発展するであろうと予測したが、予測にたがわず、男性どうしの恋を描くコンテンツは、現在も一定の人気を獲得し続けている(「『BLマンガ』なにがそんなにスゴイのか」)。

江戸時代の男どうしの恋模様を描いた井原西鶴『男色大鑑』の現代語訳も、つい先月に文庫版として復活し、男の恋物語への関心は加速しているといってもよい。

その代表的な例が、テレビドラマ『おっさんずラブ』(2016年第1シリーズ、2019年第2シリーズ)のヒットといえる。

今夏の劇場版、作年末の単発版も制作され、シーズン2の初回はツイッターで日本トレンド1位、世界トレンド第3位を獲得したほど、SNSでも注目を集めている『おっさんずラブ』は、土曜日の夜11時15分からという時間帯ながら、少女漫画やBLという枠組みを超え、より広いオーディエンスを期待するドラマという映像メディアに拡大した。

実は、歴史を遡れば、西鶴が描いた近世の男色や、日本の中世文学が描く僧侶の稚児への恋も、年上のおっさんが美少年に恋するというパターンをもつため、裏をかえせば、西鶴の『男色大鑑』は江戸時代版『おっさんずラブ』ともいえる。

シーズン1のポスタービジュアル(C)テレビ朝日

しかし、『おっさんずラブ』自体は、意図的に日本の古典を復活させたわけではなく、あくまでも現代のドラマとして人気を得ている。

この現象はどう読み解けばよいのか? 日本社会においては、LGBTQの自由や権利を求める社会的ムーブメントが進展しているが、こうした現実社会における現象と、メディアの表象には果たして関連があるのか否か。

以前にも述べたように、少女漫画が描いていた同性愛は、同性愛というよりも少年愛に近く、特に初期の名作は、日本の女性読者が決して入学できないドイツやフランスの全寮制男子校を舞台に、思春期の若者の人間関係の悩みや生きることへの問いを描いた文学性の高い内容であった。

 

しかし、『おっさんずラブ』が描くおっさんの恋は、現実の日本のサラリーマンの世界や航空会社を舞台にしており、日本のオーディエンスにとって、はるかに現実味のある設定である。

従来のBL漫画においても、ネクタイ姿のビジネスマンの恋を描く例はあったが、実写となると生身の俳優が演じるので、さらにリアリティが増す。

主人公の春田は33歳で、10代の美少年ではないし、おっちょこちょいでドジな“どこにでもいそうな”親しみあるキャラクターである。第2シリーズではリストラされた35歳で、「独身ポンコツダメ男」という設定は踏襲されている。