ジャパンディスプレイの経営危機、いよいよインパール作戦じみてきた

まさにモラルハザードの極致
加谷 珪一 プロフィール

市場メカニズムの軽視という「冒涜」

市場とは不思議なもので、誰がお金を出すのかで、企業の行動メカニズムが劇的に変化する。投資家というのは自分の貴重な財産を企業に投資するわけだから、まさに真剣そのものである。企業の経営者はこうした資金を預かる立場であり、投資家とは直接、会話をしなくても、その真剣さははっきりと伝わるものである。

一方、税金というのは徴税権を使って強制的に徴収するものであり、その資金を預かる公務員にとっては、自分のお金ではない。また公務員は身分保障されているので、仮のそのお金を失っても、個人的に責任を問われることは一切ない。ここが民間と官庁の最大の違いといってよいだろう。

 

このような責任を免除された資金が湯水のごとく投入された組織の経営者は、ほぼ確実に金銭感覚が麻痺する。

日本人はこうした不祥事が発生すると「モラルが大事だ」といった精神論に走る傾向が顕著だが、これでは根本的な解決にはならない。人間というのは条件が揃えば、簡単にモラルハザードを引き起すという現実を大前提に、仕組みとして不祥事が発生しないよう制度を設計していく必要がある。精神論を振りかざしているだけでは、何度も同じ事を繰り返すだけだ。

国家主導で税金を投入すれば、それまで民間でうまくいかなったものがうまくいくようになるというのは、完全な幻想であり、たいていの場合、むしろ事態は悪化する。

もし、今の日本人に決断する勇気が残っているのであれば、遅すぎるとはいえ、JDIに対してしっかりとした後始末を付けるべきである。それが出来るか出来ないかで、今後の日本の行く末は大きく変わると筆者は考えている。