ジャパンディスプレイの経営危機、いよいよインパール作戦じみてきた

まさにモラルハザードの極致
加谷 珪一 プロフィール

こうしたところに飛び込んできたのが、元従業員による横領である。元従業員は、2014年7月から2018年10月にかけて、架空の取引先に対して業務委託費などの名目で金銭を振り込むといった手口で約5.7億円を横領したとされている。

同社はこの元社員を刑事告訴しているが、この元社員は自身の横領とは別に、経営陣からの指示で不正会計を行ったという爆弾発言を行っている。事実関係については現在調査中で、しかもこの元社員はすでに自殺しているため、真偽の程は不明だが、不正会計が事実であれば極めて深刻な事態である。

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極度の業績悪化や従業員による巨額横領、そして粉飾決算疑惑と、まさに目も当てられない状況だが、同社にはこうした不祥事が発生する予兆が以前から存在していた。その時に適切な対処をしていれば、ここまで問題が大きくなることはなかったはずだが、経営陣や政府はその決断が出来なかった。

JDIの状況について、無謀な計画で3万人もの死者(しかも多くが餓死)を出した太平洋戦争時のインパール作戦に例える人もいるが、あながち間違った指摘とは言えないだろう。

 

主要顧客に資金の面倒をみてもらうという異常事態

JDIの経営が機能していないという兆候は上場直後にすでに現れていた。先ほども説明したように、同社は2014年3月に鳴り物入りでIPO(新規株式公開)したが、初値は公募価格を15%も下回る769円にとどまり、翌月にはいきなり業績を下方修正している。10月にも業績を下方修正し、株価下落がとまらなくなった。