日産・新社長の実力と、脱ゴーンのカギを握る「影の社長」

「トロイカ体制」の役割分担
井上 久男 プロフィール

ルノーとの関係はどうなる?

たとえば、「ゴーン時代」の日産はコストを極端に落としてチープなクルマを造り、それを値引きして台数を稼いできた。

その象徴が、新興国で規模拡大のために投入したブランド「ダットサン」だった。インドネシアなどに新工場を建設したが、商品力がないために売れず、過剰設備となった。米国でも値引きしてレンタカー向けのフリート販売を強化し台数を伸ばしたが、大量に値引きして売った新車が中古車となって市場に流入し、新車が高値で売れない悪循環を作った。

こうした無謀な拡大戦略の背景にあるのが、できもしない数値目標を掲げてゴーン氏に媚びる企業文化にあったと、内田氏は指摘しているのだ。

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ルノーとのアライアンスについて内田氏は「短期的には日産、ルノー、三菱の3社の利益が出るようにアライアンスを活用し、中長期的には開発で連携を強化するために活用する」との考えだ。開発での連携強化については、自動運転やコネクテッドなど投資がかさむ次世代技術の開発の効率化のために、3社でリソースを持ち寄って新会社を設立する構想があるようだ。

また、ルノーのスナール会長は今でも、日産との経営統合を狙っているとされる。その一方で、西川廣人前社長は経営統合をきらい、逆にルノーの日産に対する出資比率引き下げを目論んだ。この結果、ルノーとの間に摩擦が起き、両社の関係がぎくしゃくした。

 

ルノーとの資本関係見直しについて、会見で内田氏は「今はその話は一切していない」と述べるにとどまった。

日産、ルノー、三菱ともに大幅に業績が悪化している。当面は業績改善に注力し、アライアンスもそのために活用するということだ。しかし、いずれこの経営統合や資本関係見直しの問題は浮上してくる。その際に内田氏がどんな手腕を見せるのかが問われる。