マクドナルドが苦しんだ「経営の逆回転」とはなんだったのか

原田泳幸氏が残したもの
福田 健 プロフィール

異物混入問題

こうしてサプライヤーの裏切りで打撃を受けたマクドナルドで、今度は原田改革(1)店舗業務標準化と(3)人員削減によって力を失った現場が崩れ始める。具体的には2014年12月から始まった「異物混入問題」だ。

「マクドナルドの商品に異物が混入していた」とネットで話題になり、その画像が相次いでアップロードされた。翌2015年1月には「ビニール」や「人の歯」など、常識では考えられない異物が入っていたと報じられた。

なかには、商品に金属片が混入していたケースもあった。この点について、ある現役社員は次のように語る。

「鉄板からハンバーグを取るヘラが欠けたのだろう。通常は1日4回、昼食と夕食のピーク前後にヘラの歯が欠けていないかを確認することになっているが、コスト削減でそのままになっている店舗が多かった」「(異物混入は)売り上げ減少によるコスト削減も一因」(別の社員)というのである。

〔PHOTO〕Gettyimages

マクドナルドでは基本的に、店舗ごとに収益管理を行う。売上高から、食材費、人件費、家賃や水道光熱費、広告費、修繕費などを差し引いた利益が収益の中心となる。

このうち、変動費である食材費、固定費に近い家賃、水道光熱費、広告費などは店舗での削減余地が少ない。売上高が減少した際に、店長の裁量で削減する余地が大きいのが人件費や修繕費なのである。

 

もちろん藤田時代も条件は同じだった。だが、原田改革の(1)店舗業務標準化により、本社のマネジメントが強くなり、そこに売上高の伸び悩みが重なったことで、各店舗の店長に強烈なコスト削減のプレッシャーがかかることになった。

これに加えて(3)の人員削減もマクドナルドの傷を深める要因となっている。

「人員を減らし、コストを下げると本社からの評定がよくなる仕組みになっている。これじゃあ客への対応が十分にできない。異物混入騒ぎがあそこまで大きくなっても不思議じゃない」(現役店長)