マクドナルドが苦しんだ「経営の逆回転」とはなんだったのか

原田泳幸氏が残したもの
福田 健 プロフィール

決定打は海外から訪れた。2014年7月20日、マクドナルドのチキンナゲットを製造する中国・上海福喜食品が使用期限切れの鶏肉を使用していると、現地テレビ局が報道したのだ。同社製のナゲットを日本でも使っていた事実が明らかになると、客数は激減した。

上海福喜食品は、マクドナルドと提携する前述の米国食肉大手・OSIグループの傘下にある。つまり、原田改革(2)のサプライヤー変更がマクドナルドの首を絞めることになったと言える。

そもそも、藤田時代のマクドナルドは、業界に先んじて食の安全管理手法である「HACCP」を導入するなど、食の安全については定評があったはずだ。

だが、「チキンショック」時の安全管理体制は十分なものだったとは言えないだろう。当時、サプライヤーの安全管理は、工場自体が年に1回行う内部監査と、マクドナルド本社が依頼した外部の組織が事前予告をしたうえで行う、年に1度の外部監査しかなかった。つまり、本社は直接、管理に関わってはいなかったのだ。

ナゲットの問題を受けて会見を開いたサラ・カサノバCEO(2014年)〔PHOTO〕Gettyimages
 

事故を受けてマクドナルドは、外部監査の事前予告を無予告に変更。さらに本社の品質保証担当者が年に1度、無予告で監査を行うことにしたという。商品の安全性が最重要視される外食企業の反応としては遅すぎた。

前述したとおり、原田体制下で、マクドナルドは米本社との共通のサプライヤーからの調達を強化してきた。はたして、そのことが食の安全に対する慢心を生んでいなかったか。

マクドナルドは慌てて全量をタイからの調達に切り替えるなど早めに手を打ったものの効果は乏しかった。2014年10月には、2014年12月期の経常損益が赤字に転落すると発表せざるを得なかった。2011年の上場以来初の経常赤字である。マクドナルドの試算によれば、チキンショックで同社が失った売上高は、2014~15年の2年間で1000億円に達する。