プロ経営者・原田泳幸氏は、マクドナルドで結局「何をしたのか」

タピオカ大手の社長就任を機に振り返る
福田 健 プロフィール

2004年、原田がアップル日本法人のトップからマクドナルドとのCEO(最高経営責任者)に転籍したさい、大手新聞は「マックからマックへ」と鮮烈に報じた。

実際、原田の手による“米国式”改革は当初、はなばなしい成果を納めた。ところが、彼が強力に推し進めた改革のマイナス面が近年になって次々と表面化している。短期的には大成功に見えた改革そのものが、皮肉なことに経営の“逆回転”を引き起こしたことでマクドナルドの足を引っ張り始め、同社の強さを奪う結果になっているのだ。

原田は2013年8月にCEOの座を後任のサラ・カサノバ(48)に譲り渡したが、原田改革の負の遺産は、現在のマクドナルドの苦境として数字にはっきりと現れている。2014年には創業以来で最悪の経常赤字79億円に転落。2015年1〜3月に至っては既存店売上高が前期比3割減という惨状を呈している。

サラ・カサノバCEO(2019年)〔PHOTO〕Gettyimages

さらにマクドナルドは4月16日には、2015年の業績見通しを発表。売上高の減少や店舗の改装費、フランチャイズ(FC)への支援策に経費がかさみ、経常損失は310億円、当期純損失は380億円と、ますます悪化する見通しを示した。

現在の苦境を原田自身はどう考えているのか。今年1月、ある雑誌のインタビューに原田は「疫病神批判に答えよう」として次のように語っている。

「マクドナルドの不調について、一部のメディアが私だけに原因があったかのように報じています(略)米国本社から赴任してきたCOO(最高執行責任者)に実務を任せてからは約二年がたっています。その事実は理解してほしいと思います」

 

現在の業績不振に自分は関係ないと主張しているようにも見える。

筆者は原田のことを“疫病神”と中傷する気はさらさらない。ただ、この発言を聞くかぎりでは彼の無責任さのようなものを強く感じる。原田が2010年から2014年までの5年間に同社から得た役員報酬は、総額約15億円に達した。その経営者が、「米国の人間が経営をしていたことを理解してくれ」と言って、業績不振に苦しむ従業員や株主たちの理解を得られるだろうか。

本稿では、原田がいかにして2000年代の苦境にあったマクドナルドを好転させて行ったのか、そしてまさに会社を立て直したそれらの改革が、どのようにしてマクドナルドの足かせとなっていたのか、その“経営の逆回転”の軌跡を追っていくことにする。