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# 英語

「日本人の英語力はなぜ向上しないのか?」に対する超シンプルな回答

翻訳家の私はこう考える

本当に必要な英語の技能とは何か

大学入試での英語民間試験利用の問題は混迷をきわめ、どこへ行き着くのかまったく読めなくなっている。

採点基準の曖昧さや受験にともなうさまざまな不公平など、延期よりむしろ中止へ向かうべき要因はいくつもあるが、ここでは、そもそも英語の4技能(読む、書く、聞く、話す)を均等に測ることの是非について考えたい。

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むろん4技能はどれも重要なものだが、だからと言って、10代後半ぐらいの学習者がすべてに長けている必要があるのかどうか。だれにも性格や資質に基づく向き不向きはあるし、環境によるところも大きい。

わたし自身について言っても、仕事柄、英語の読み書きは日常的にこなしているが、聞いたり話したりの機会はきわめて少ないから、読み書きの能力に比べてかなり劣る。仕事の環境によっては、その反対の人も多いだろう。

母国語である日本語の4技能においてさえ、すべて完璧と言いきれる人がほとんどいないのに、外国語の能力について、それも10代後半の人たちにいきなり求めるのは酷な話だ。

 

では、初期・中期の語学学習者は、どれを優先したらよいのか。もちろん、まずは受信する側、つまり「読む・聞く」の能力を伸ばすべきだ。

生まれたばかりの子供は1、2年にわたって周囲の声を聞きつづけ、あるとき片言で話しはじめたあと、しばらくして爆発的なまでの発信をはじめる。それまで蓄積してきたものが自然にあふれ出すわけだ。母国語を習得する場合は、周囲の声を1日の半分ぐらい浴びつづけられる環境と、乳幼児の柔軟性や受容能力の高さとが相まって、数年でずいぶん高いレベルの意思伝達ができるようになる。