# ジェンダー

炎上繰り返すポスター、CM…「性的な女性表象」の何が問題なのか

フェミニズムから学べること
小宮 友根, ふくろ プロフィール

(5)利用可能性/受動性の表現
最後にポーズや表情にかかわる技法として「利用可能性/受動性の表現」を挙げておきます。「利用可能性」は、表象される女性がそれを見る者にとってあたかも性的に利用可能である(自分を受け入れてくれる関係にある)かのような印象を与える描き方です。寝そべっている女性を上から眺めている(見る側にとっての一人称視点のような)構図、女性が片手または両手を上げて性的な部位を無防備にしているポーズなどがそれにあたります。

関連して「受動性」は、性的に見られることに関して女性のほうが能動的、積極的ではない(かといって明確に拒絶しているわけでもない)印象を与えるような描き方です。仰向けで寝そべって見下ろされているようなポーズもそうですが、恥じらいや戸惑いの表情もそれにあたるでしょう。

図5. 利用可能性/受動性の表現

こうした描き方は、見る側にとって利用できそうなものとして描くという点で女性に対する擬似的な「所有」関係を、また性的に受動的なものとして描くという点で女性の自律性の低さや活動性の低さを、それぞれあらわしているという理解を生みやすいものでしょう。

 

性的な女性表象の差別性

いかがでしょうか。「なるほどありがちかも」と思っていただけたならまずは幸いです。その上で、こうして具体的に見てみると、これらの表現技法を用いた性的な女性表象がどのように差別的で抑圧的な意味を帯びるのかが考えやすくなります。

第一に、これらは圧倒的に、女性を性的に表象するための技法です。男性が同じような技法で表象されることはあっても稀で、実際こうした表象の数における男女間の非対称性はあきらかでしょう。「女性」を性的に表象するときに繰り返し用いられるパターン化された手法であるという点において、これらは単に個別の女性を描くためのものではなく、「女性」というカテゴリーを性的客体として意味づけるものとなっています。

第二に、「理由のない露出」「性的なメタファー」「意図しない/望まない性的接近のエロティック化」などに顕著なように、そうした技法はしばしば性的ではない状況を見る側にとって性的に楽しめるものにするために用いられます。この点でそれらは「一方的に向けられる性的関心」の表現となっており、「対称ではない関係」をエロティックに描くものになっています。